社内にバスケ部やフットサル部等運動の部活がある会社は多い。しかし、部活動を会社の資産として認識できている企業は少ないように思えます。
あなたの会社では部活動を資産として使えていますか?
部活動を資産とまで言える理由は、健康経営優良法人の認定要件に、とても有効だからです。
健康経営優良法人を簡単に説明すると、従業員の健康管理を経営課題として戦略的に取り組んでいる企業を国が認定する制度です。取得すると、求人票に記載できるようになり、採用面でのアピール材料になります。自治体によっては公共工事の入札で加点対象になることもあり、金融機関の融資条件が優遇されることもあります。
この記事では、中小規模法人部門を前提にしています。大規模法人部門は評価の仕組みが少し違ってくるので、混同しないよう注意してください。
健康経営優良法人認定に必要な項目
健康経営優良法人の認定は、必須項目と選択項目に分かれています。選択項目は①から⑰まであり、3つのグループに分かれています。認定には①〜③のグループから2項目以上、④〜⑩のグループから2項目以上、⑪〜⑰グループから4項目以上を満たしている必要があります。
必須項目と選択項目の全体像は、以下の図の通りです。
健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)の認定要件と、部活動が該当する位置
必須項目をすべて満たしたうえで、選択項目①〜⑰から合計8項目以上を確保する必要があります。
- 健康宣言の社内外への発信
- 経営者自身の健診受診
- 健康づくり担当者の設置
- 40歳以上の健診データ提供(求めに応じて)
- 具体的な推進計画の策定
- 取り組みに対する評価・改善
- 受動喫煙対策
- 法令遵守・リスクマネジメント
- ①定期健診受診率(実質100%)
- ②受診勧奨の取り組み
- ③50人未満事業場のストレスチェック実施
- ④教育機会の設定
- ⑤ワークライフバランスの実現
- ⑥育児・介護の両立支援
- ⑦コミュニケーションの促進文化系などの部活動が該当
- ⑧私病との両立支援
- ⑨女性の健康
- ⑩高年齢従業員の健康
- ⑪保健指導
- ⑫食生活改善
- ⑬運動機会の増進運動系の部活動が該当
- ⑭長時間労働対策
- ⑮心の健康
- ⑯感染症予防
- ⑰喫煙対策(受動喫煙以外)
!運動系の部活動への支援は⑬、それ以外の部活動への支援は⑦の選択肢に当たります。同じ支援を⑦と⑬の両方に計上することはできません。
出典:「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)認定要件」(経済産業省・日本健康会議)、「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)認定申請書」をもとに作成。項目名は短縮して表記しています。
これを見ると、必須の項目もあるし選択項目も全部で8項目満たさなくてはいけなく、コストが膨大だという印象を受けると思います。しかし、部活動をすでに行っている会社は、⑦「コミュニケーションの促進に向けた取り組み」と⑬「運動機会の増進に向けた取り組み」を、部活動で満たせる可能性があります。
申請書では、部活動への支援は目的によって振り分けられています。⑬の設問には、運動機会の増進を目的とした同好会・サークルの設置や、金銭支援・場所の提供という選択肢があります。バスケ部やフットサル部のような運動系の部活動は、こちらに当たります。
⑦の設問にも同好会・サークルへの支援の選択肢がありますが、スポーツイベントの補助などは⑬の設問で回答するよう注記されています。そのため、⑦には文化系など運動を目的としない部活動を充てるのが自然です。
また、⑦の設問には「Q26の運動機会の増進に向けた取り組みに関する具体的な支援と重複しないようご回答ください」(Q26は⑬の設問)という注記があり、同じ部活動への支援を⑦と⑬の両方に計上することはできません。
つまり、運動系の部活動は⑬、文化系などの部活動は⑦に当たり、両方がそろっていれば、それぞれの支援で2項目を満たせる可能性があります。
なお、⑦・⑬とも原則として全従業員を対象とした取り組みであることが求められ、⑦の設問には、一部の従業員にだけ参加を募ったものは該当しないという注記もあります。部活動であれば、全従業員に参加の門戸が開かれていることが前提です。
とはいえ、すでに部活動をやっている会社であれば、少なくとも1項目分をコストをかけずに満たせる可能性があるわけです。それをそのまま資産として使わない理由はありません。多くの会社がこの「使える資産」を持っているのに、放置しているのが現状です。
部活動を運営するにあたって必要なこと
部活動を会社の資産にするためには出欠管理をしっかりデータに残しておくことをお勧めします。
現時点の中小規模法人部門の申請書では、⑦・⑬とも、部活動の参加率や参加人数までは問われません。会社が部活動を設置したり、金銭支援や活動場所の提供をしたりしていれば、選択肢に該当します。
ただし、申請にあたっては、回答した取り組みを説明できる資料を申請期間の最終日から2年間保存し、提出を求められた場合は1週間以内に応じることを誓約します。資料の例としては、取り組みの様子を撮影した写真や、開催を周知した文書・メール、費用補助を確認できる資料などが挙げられています。部活動であれば、いつ、誰が参加したかの記録が、取り組みを説明する材料になります。
また、健康経営優良法人の基準は、年を追うごとに少しずつ厳しくなってきている傾向にあります。中小規模法人部門でも、小規模法人特例の導入や評価項目のグループ再編など、ここ数年で構造そのものが変わったことが何度かあります。さらに、大規模法人部門の方では参加率(実施率)を測っていることが条件になっている項目もあります。
つまり、不要だから記録しなくていいという考え方は危険です。今のうちに記録できる体制を整えておけば、資料の提出を求められたときも、基準が厳しくなったときも慌てずに済みます。
実際にBulldonでもバスケのチームを運営しています。その経験から部活動を運営していくうえで大切なことは対象者の管理、参加実績の記録、安全管理体制の3つだと考えています。
対象者の管理とは、誰が部活動の参加者で、誰が実際に在籍しているかを常に把握しておくことです。 新しく部活動に参加した人や異動や退職があったのに名簿が更新されないと、参加率の分母がずれてしまいます。分母がずれた参加率は、いくら細かく記録しても信頼性が上がりません。
参加実績の記録とは、活動日ごとの出欠を個人単位で積み上げて、月次・年次で参加率を出せる状態にしておくことです。単発で集計するのではなく、日々の運用の中で自動的にデータが積み上がる仕組みにしておくようにしましょう。
安全管理体制とは、活動中の事故やケガへの備えです。 社内部活動は業務外の活動として扱われることが多く、労災の対象外になることがあります。保険に入っているか、緊急連絡先が管理されているかを参加者ごとに把握している必要があります。
実際に当社で運営しているバスケチームでも出欠をLINEで適当に管理していたせいでいくつか問題が起きていました。せっかく予定を開けて練習に来ているのに参加人数が多すぎて満足にバスケをできないというものや、経験者と未経験者の人数が当日までわからずチームを上手く分けることが難しいといったものです。
部活動を運営するにあたって対象者の管理、参加実績の記録、安全管理体制をしっかりデータに残して行うことは健康経営優良法人の認定を考えなかったとしてもとても大切なことです。手書きの出席簿やExcelでも記録自体はできますが、活動のたびに転記し、月ごとに集計するとなると、その作業そのものが担当者の負担になってしまいます。
この負担は一見過小評価されがちですが、会社部活動の担当者がこの業務の専任であることは稀です。定常業務を抱えながら部活動の管理をこなすとなると、どうしても後回しになってしまうのが実情です。もしくは定時時間外にやらざるを得なくなり、結果的に担当者の善意によって成り立つ不健全な仕組みとなってしまいます。
記録を続けられるかどうかは、担当者の熱意ではなく仕組みの側で決まります。
他の選択項目とのバランスの取り方
部活動は健康経営優良法人の評価項目を満たすうえでとても優秀ですが、部活動だけで認定を取得することはできません。⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組みのグループは④〜⑩から2項目以上、⑬運動機会の増進のグループは⑪〜⑰から4項目以上を満たす必要があり、部活動でカバーできるのは、それぞれのグループで最大1項目分です。
⑦のグループなら、部活動によるコミュニケーション施策に加えて、教育機会の設定やワークライフバランス施策など、あと1項目を別の取り組みで確保しておく必要があります。⑬のグループも、部活動以外の運動機会増進策や、食生活改善・禁煙対策等と組み合わせあと3項目分確保しなくてはなりません。
部活動を唯一の解決策にせず、他の施策とセットで設計しておくのが安全です。
当社システム『B-PASS』が解決する課題
多くの企業では部活動の運営が現場任せになっており、出欠管理はLINEグループでのやり取りだけで完結し、参加実績は誰の手元にも記録として残っていないのが実情です。この状態は、健康経営優良法人の認定を目指すかどうかに関係なく、部活動という資産を少しずつ毀損していきます。
『B-PASS』は、LINEと連携した出欠管理により、対象者名簿・出欠記録・参加率の算出までを一元化するサービスです。当社自身が現場での反省を活かして開発し、実際に運営に使っています。日々の活動をそのまま記録として蓄積できるため、担当者が個別に集計する手間をかけずに、部署別の参加実績や継続参加の状況を可視化できます。
B-PASSが自動で残す記録と、対応する評価項目
担当者が集計するのではなく、日々の出欠登録の結果として蓄積されます。
| 記録項目 | 対応する評価項目 |
|---|---|
| 月間開催回数/延べ参加人数 | ⑬ 運動機会の増進 |
| 参加率(在籍者名簿ベース) | ⑬ 運動機会の増進 |
| 部署別の参加実績/部門ミックス数 | ⑦ コミュニケーションの促進 |
| 3ヶ月連続参加者数 | 取り組みの継続性 |
| 同意取得率/緊急連絡先登録率GOVERNANCE | 安全管理体制 |
| 月次レポートのPDF自動保存(2年)GOVERNANCE | 証憑の保存 |
※ 記録項目はプランにより異なります。GOVERNANCEの表示がある項目は上位プランでの提供です。
そして、こうして日常の運営のために残した記録は、そのまま健康経営優良法人の認定・更新に使えるエビデンスにもなります。
今は義務でなくても健康経営優良法人の基準は年々厳しくなる傾向にあり、上位プランのGOVERNANCEでは参加の偏りや、参加同意や緊急連絡先の管理といった安全面の記録、月次レポートの自動保存まで対応しているため、将来的に参加率の証跡が求められるようになった場合にも、そのまま活用いただけます。
弊社Bulldonは、部活動という現場の資産を、記録と可視化によって経営にも活かせる形に変えるお手伝いをしています。